ゆうの日記

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「100日後に死ぬワニ」をもう一度楽しみたい方へ

Twitterでバズっていた「100日後に死ぬワニ」が、電通案件のステマだったのではないかということでネット上で大炎上していますね。作者はすでに電通との関わりを否定していますが、それでもまだ疑念を抱いている人も多いと思います。


また、企業と関りが無かったのは分かったんだけど、連載終了直後に書籍化決定やら有名アーティストとのコラボなどが次々と発表されて、ワニくんの世界観をぶち壊しにされたと怒っている人も見かけます。


この記事では、どう考えれば企業など関係なく、もう一度「100日後に死ぬワニ」という作品そのものを愛せられるようになるのかを考えていきたいと思います。せっかくの名作ですから、炎上したまま埋没するのはちょっと嫌というか、もったいない気がします。






まず、この記事をご覧になっているあなたが、どういう立場の人か明確にしましょう。今は大雑把に分けて以下の五通りが考えられます。


1 電通案件のステマだと知ってガッカリした
2 個人クリエーターの創作ではなく企業案件だったことにガッカリした
3 メディアミックスの告知が速すぎて、情緒を感じる時間が奪われてしまった
4 これからのTwitterでの創作活動が企業案件じゃないかと疑われそうで怖い
5 単に炎上してるから乗っかりたいだけ


いかがでしょう。


5に当てはまる人はこの記事を読んでもらわなくても結構です。


4に当てはまる人はクリエーターの人でしょうか。これについては、心苦しいですか企業案件だと疑われてしまったら、その都度その都度弁明を繰り返していくしかないと思います。実際にそうなってしまった場合、企業案件だと疑って離れていってしまった人の数を見るよりも、その言葉を信じて活動を応援してくれる方を大切にするよう心掛けることが正解かな、と思います。


3に当てはまる人には私も共感します。さすがに広告するのがちょっと早すぎじゃないかと私も感じました。初七日や四十九日などの忌日法要を大切にしろ、とまではさすがに言いませんが、せっかくあれだけの情緒を描いた名作ですから、もう少し発表を遅らせてもファンの方々はついてきたと思います。あれは電通のミスでした。






さて、問題は1と2に当てはまった人です。


この人たちに対して「『100日後に死ぬワニ』という作品は作者の実体験をもとにして作られた作品らしいから、企業案件じゃないよ。ステマじゃないよ」というのは簡単ですが、それだけだと「真実は分からないじゃない」と言われそうなので、別の角度から考えることにしました。


それは「もし本当に企業案件だったとしたら、じゃあどうなるのだろう」という考え方です。


色んな方の意見を見てみると、どうやら以下の理由でステマだと認定しているようです。


・グッズの展開の仕方を見るに、何か月も前から準備していなければおかしい。だから、「100日後に死ぬワニ」は最初から企業が関わっていたに違いない。


ちょっと、この説を妄信してみることにしましょう。


これが本当だとしたら、グッズを制作する企業側はもしかしたら「成果物がなにも無い状態でグッズ制作を開始しなければならなかった」と考えられます。まさか企画開始段階で100日分の4コマ漫画が完成していたとは思えませんから。


キャラクターデザインと方向性だけが決まっていた段階でグッズを作り始めるとどうなるかを想像したら、私が発表されたグッズを見て「グッズのクオリティが『100日後に死ぬワニ』本編に追いついてないんじゃないかな」と思った理由も判明する気がします。


理由はもちろん、企業側は普通のグッズ販売などを企んでいたのに、その「普通のグッズ販売」が許されないぐらいの感動作品を作者が書いてしまったから。つまり、企画の初期段階で企業側が作者の力量を見抜けなかったことが原因になるのではないかと思います。


これは企業側の怠慢というよりかは、避けられない炎上だったと思います。


「100日後に死ぬワニ」は4コマ漫画ですから、1日にたった4コマしか更新できません。それが100日なので全部合わせると400コマになります。


400コマがどれくらいのページ数になるかというと、標準の漫画が1ページ6コマだとして約66ページになります。


たった66ページで「ワニというキャラクターが死ぬところを感動的に書いてください」と言われたら、普通は書けないと思います。ファンの方が今回の炎上を受けて「国民的キャラクターになりえたのに」と惜しむほど日本人の心を掴む作品を書くだなんて、企画初期段階で誰も見抜けないと思います。


つまりステマの企業案件なのに、なぜ失敗してしまったのかについての答えは、企業の想定を作者が超えてしまったことが炎上につながったです。


もちろん、これは悪いことではありません。
日本人クリエーターは屈強の実力派揃いですからこうなることもあります。企業側から提示された資料から、力を振り絞って世界を作ろうとすることはクリエーターの鑑とも言える行動です。


ステマの電通案件が真実だった場合、逆に作者の力量の高さが伺えるということにならないでしょうか。このように作者の技術の高さや感性の鋭さなんかを感じると、私の場合はステマだろうがなんだろうが関係なく作品を楽しめるようになります。


……なんか、ただの作者擁護みたいになってしまいましたね。






「100日後に死ぬワニ」は死を描いた作品であり、そして生を描いた作品でもあると私は思っています。


ワニくんの生きてる姿に愛着が沸き、しかし100日後に確実に死ぬ運命が待ち受けているというどうしようもなさが読者の心を強く打ったんだと非常に感心しました。


この記事の後半では、電通案件がもしも真実だったら、という内容でお送りしましたが、私は作者と電通の関りはなかったと信じています。


せっかくの名作ですから、まだまだ多くの人に見てもらいたいですし、あれだけの作品を書ける作者のきくちゆうきさんのこれからのご活躍も応援したいと思います。


捻じれてよくわからない記事になった気がしますが、楽しんでいただけたら幸いです。

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